【魔法界からの報告】マグル(人間)の40代サラリーマンよ、「美しい彼」という愛の魔法を知っているか?


親愛なるマグル(人間)の諸君、そして日々の労働という名の「吸魂鬼(ディメンター)」に魂を削られている40代の戦士たちよ。

わしじゃ。ホグワーツ魔法魔術学校の校長、アルバス・ダンブルドアじゃ。……と言いたいところじゃが、著作権という魔法界よりも恐ろしい契約魔法に縛られておるのでな、あくまで「とある老魔術師」として話を進めさせてもらうとしよう。

さて、今日は魔法薬の授業でも、闇の魔術に対する防衛術の授業でもない。わしが水晶玉を覗き込んでいたところ、日本のトレンドワードという予言の中に、奇妙な輝きを放つ言葉を見つけたのじゃ。

それは、「美しい彼」――。

「ふん、BL(ボーイズラブ)か。わしには関係ない」

そう思ったそこの君。満員電車に揺られ、上司の機嫌を伺い、家のローンと子供の教育費に頭を抱える君だ。そう、君にこそ聞いてほしいのじゃ。これは単なる恋愛ドラマではない。君が忘れてしまった「純粋さ」という名の、最強の守護霊を呼び出すための呪文なのかもしれないのじゃから。

起:トレンドに現れた「美しい彼」という魔法現象

まず、この「美しい彼」という言葉がなぜ今、再びトレンドという名の金のスニッチのように飛び回っているのか説明しよう。

これは、凪良ゆうという優れた書き手による小説が原作で、ドラマ化、そして映画化され、多くの女性たち(そして一部の目覚めた男性たち)を熱狂の渦に巻き込んだ作品じゃ。無口で友達のいない平良一成と、クラスの頂点に君臨する美しい王・清居奏。この二人の不器用すぎる恋の物語じゃ。

「なぜ今?」と思うかもしれん。それは、この作品が持つ魔力が、一過性のものではないからじゃ。ドラマの再放送か、はたまた続編の噂か、あるいは単に誰かがその尊さに触れ、ルーモス(光よ)と叫ぶようにSNSでつぶやいたのが拡散されたのか。正確な理由は魔法省の神秘部でも調査中じゃが、確かなのは、この作品が放つ輝きが少しも衰えていないということじゃ。

40代の君たちにとって、トレンドとは「追うもの」ではなく「通り過ぎるもの」になってはおらんかな? 「最近の若いもんは」と呟いて、スマホを閉じる。それが老化の呪いじゃよ。魔法使いは老いても好奇心を失わん。君もそうあるべきじゃ。

この「美しい彼」がトレンド入りしている事実は、世界がまだ「純粋な愛」や「狂おしいほどの情熱」を求めている証拠なのじゃ。そしてそれは、君の乾いた心にも、必ずや響くはずじゃ。

承:なぜ枯れた40代マグルに「推し」という守護霊が必要なのか

さて、ここからが本題じゃ。なぜ、働き盛りの、いや、働き疲れた君たちが、この「美しい彼」を見るべきなのか。

君たちは日々、心を守るために「無関心」や「事なかれ主義」という閉心術(オクラメンシー)を使っているはずじゃ。感情を殺し、理不尽に耐える。それは立派な処世術じゃが、副作用がある。心が石のように硬く、冷たくなってしまうのじゃ。

「美しい彼」の主人公、平良を見てみたまえ。彼は吃音を持ち、周囲に馴染めず、底辺の暮らしをしている。しかし、彼は清居という「美」に出会い、信仰にも似た愛を注ぐ。その姿は、常識や世間体という鎖に縛られた君たちには、狂気に見えるかもしれん。

だが、思い出してほしい。君にもかつて、理屈抜きで何かに夢中になった時代があったはずじゃ。誰かを、あるいは何かを、全身全霊で追いかけた記憶が。

この作品は、その忘れかけた「情熱」を呼び覚ます魔法薬(ポーション)なのじゃ。

平良のごとく「キモい」と言われるほど一途になること。清居のごとく、不器用な愛を受け入れ、傷つきながらも進むこと。彼らの姿を見ていると、君の胸の奥底にある「分霊箱」のような場所に封印していた感情が、震えだすのを感じるじゃろう。

40代に必要なのは、地位でも名誉でもない。「推し」じゃ。「推し」を持つということは、強力な守護霊(パトローナス)を持つのと同じことじゃ。嫌な上司も、理不尽な客も、「家に帰れば美しい彼が待っている」と思えば、吸魂鬼のように君の幸福を吸い取ることはできなくなる。

転:美しき沼への招待――そこはアズカバンより抜け出せない

しかし、警告しておかねばならん。この「美しい彼」という沼は、一度足を踏み入れたら最後、容易には抜け出せん。それはアズカバンの牢獄よりも強固な魔法で守られておる。

まず、時間が溶ける。
「あと1話だけ」という言葉は、魔法界で最も危険な嘘じゃ。気づけば夜が明け、君は寝不足のまま出社することになる。だが不思議なことに、体は重いが心は軽い。ニワトコの杖を手に入れたかのような全能感さえ感じるかもしれん。

次に、ガリオン金貨(お金)が消える。
Blu-rayボックス、原作小説、ビジュアルブック、関連グッズ……。彼らに捧げる供物は無限じゃ。君の財布の中身は、レプラコーンの金貨のように消えてなくなるかもしれん。だが問いたい。その金貨は、居酒屋で愚痴をこぼすために使うのと、どちらが有意義かな?

そして何より、価値観が書き換えられる。
今まで「男同士の恋愛なんて」と食わず嫌いしていた自分が、愚かなトロールのように思えてくるじゃろう。「愛に性別は関係ない」「尊いものは尊い」という真理に気づいてしまうからじゃ。

君の奥方や娘さんが、もしこの作品のファンなら、これほど強力なコミュニケーションツールはない。「平良のあの目つき、わかる?」と語り合えば、冷え切った家庭内にも「温かい家庭的な魔法」がかかるかもしれんぞ。

狂気と紙一重の純愛。それを「美しい」と感じる感性が、まだ君に残っているか? 試されているのじゃよ。

結:灰色の日常に「ルーモス(光)」を灯せ

さあ、講義も終わりに近づいてきた。

トレンドワード「美しい彼」は、単なる文字の羅列ではない。それは、君たちマグルの世界に空いた、魔法界への入り口なのじゃ。

40代という年齢は、人生の折り返し地点じゃ。これから先、ただ老いていくだけの道を歩むか、それとも心に魔法を宿して生きるか。

もし君が、日々の生活に虚しさを感じているなら。
もし君が、心のどこかで「何か」に熱狂したいと願っているなら。

騙されたと思って、その扉を開けてみたまえ。
そこには、君が失った青春のきらめき、ヒリヒリするような焦燥感、そして魂を震わせるような「美」が待っている。

最後に言っておくが、沼に落ちても、わしは助けには行かんぞ。そこは君自身が楽しむべき、君だけの秘密の場所なのじゃからな。

さあ、行きたまえ。そして、その目で確かめるのじゃ。「美しい彼」がもたらす奇跡を。

それでは、また会おう。……おっと、次に会うときは、君も「清居派」か「平良派」か、派閥(寮)のローブをまとっていることを楽しみにしているぞ。

アバダ・……いや、アロホモラ(開け)! 君の心に!


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