【令和ロマン風漫才】MEGUMIという名の宇宙、あるいは俺の彼女
くるま:はい、どうもー!令和ロマンですー!お願いしますー!いやー、素晴らしいですね。
ケムリ:何が素晴らしいんだよ。
くるま:いや、最近の俺のバイブスがね。もう完全に仕上がっちゃってるわけよ。例えるなら、サウナ上がりの「オロポ」くらい仕上がってる。
ケムリ:整ってんねえ。
くるま:でさ、何が俺をそこまで高みへ連れて行ったかというと、やっぱ「愛」なわけ。
ケムリ:愛? お前に愛なんてあんの?
くるま:あるよ! 失礼だな! 俺だって恋くらいするよ。で、単刀直入に言うけど、俺、MEGUMIさんと付き合ってることになったから。
ケムリ:……は? あの女優のMEGUMIさん?
くるま:そう。美容のカリスマであり、元グラビア女王であり、今は実力派女優の、あのMEGUMIさん。
ケムリ:絶対嘘だろ。お前ごときが相手にされるわけないだろ。
くるま:いや、これがマジなんだって! 俺も最初は疑ったよ? でもね、論理的に考えていくと、これはもう「付き合ってる」としか定義できない事象が多発してるのよ。
ケムリ:定義できない事象って何だよ。具体的に言ってみろよ。
くるま:まず、この前テレビ見てたらMEGUMIさんが出ててさ、「私、肌の保湿だけは欠かさないんです」って言ってたの。
ケムリ:まあ、美容家だからな。言うだろ。
くるま:その時、俺の顔、めっちゃ乾燥してたの。
ケムリ:知らねえよ! お前の肌質なんて。
くるま:これってさ、テレビの電波を通じた俺への「私信」じゃない? 「くるま、あんた保湿しなさいよ」って言う、遠隔指導なわけ。
ケムリ:違うよ。全人類へのアドバイスだよ。
くるま:いや、お前は分かってない。MEGUMIさんの愛っていうのは、もっとこう、奥ゆかしくて、かつサディスティックなものなのよ。
ケムリ:サディスティック?
くるま:想像してみてくれよ。俺たちのデートを。
ケムリ:したことないだろデート。
くるま:俺が待ち合わせに5分遅刻したとするじゃん。普通の彼女なら「もう、遅いよー!」とか言うでしょ? でもMEGUMIさんは違う。
ケムリ:なんて言うの?
くるま:無言で、俺の眉間のシワを指でグイって押して、「ここ、刻まれるわよ」って言うの。
ケムリ:怖いな! でも言いそうだな!
くるま:でしょ!? この「怒り」を「美容への注意喚起」に変換する高度なテクニック。これが俺への愛じゃなくて何なんだって話よ。
ケムリ:いや、それただの妄想デートの話だろ。現実に起きてないんだから。
くるま:現実は超えてるから。俺の脳内ではもう、MEGUMIさんと一緒に古民家カフェ経営するところまでいってるから。
ケムリ:進みすぎだよ。
くるま:古民家の軒先でさ、俺が猫と戯れてて、MEGUMIさんが土鍋で玄米炊いてるの。「くるま、あんたまた猫背になってる」って、背中をバンって叩かれるの。
ケムリ:叩かれるんだ。
くるま:その痛みがさ、生きてるって実感湧くじゃん。最高じゃん。
くるま:それにね、MEGUMIさんクラスになると、もはや言葉なんていらないの。テレパシーで会話できるから。
ケムリ:いよいよヤバくなってきたな。
くるま:昨日の夜もさ、寝る前に天井のシミを見てたのよ。そしたらそのシミが、だんだんMEGUMIさんの形に見えてきて。
ケムリ:眼科行けよ。
くるま:そのシミGUMIさんが言ったの。「あんた、いつまで夢見てんの?」って。
ケムリ:うわ、辛辣! 天井のシミにまで詰められてんじゃん。
くるま:違うのよ! これは「夢を現実にするために動きなさい」っていう、叱咤激励なの! 愛の鞭なの!
ケムリ:ポジティブすぎるだろ。
くるま:だから俺は決めたね。MEGUMIさんにふさわしい男になるために、まずは岡山に行ってデニムを作り始める。
ケムリ:なんでだよ! 方向性おかしいだろ。
くるま:MEGUMIさんは本物が好きなの! 経年変化(エイジング)を楽しむ女なの! だから俺も自分自身をエイジングさせて、ヴィンテージくるまになる必要があるわけ。
ケムリ:お前はただのポンコツ中古車だよ。
くるま:まあ、そんなわけでさ、来週の日曜日にMEGUMIさんと食事行くことになったから、ケムリもお前ついてきてよ。
ケムリ:え? マジで? お前本当にアポ取れたの?
くるま:うん。DM送ったら返事来た。
ケムリ:マジかよ! すげえな! なんて来たの?
くるま:「法的措置を検討します」って。
ケムリ:訴えられてんじゃねえか!
くるま:法廷で会えるんだよ? 公式なデートじゃん。
ケムリ:もういいよ。どうもありがとうございましたー。